負担を減らすための整備

日本では、1990年代の法改正により都道府県が設置する保健所と市町村の役割分担が進みました。例えば、乳幼児健診は市町村が担当し、保健所は専門性の高い業務や広域の保健医療体制についての調整業務を担うなど、細分化されています。また、医療費削減に伴って各医療機関は生き残りに必死になり、地域の病床数を調整する大きな役割が保健所の仕事になりました。加えて、感染症や中毒などのほか災害時の態勢構築の要にもなっています。それにも関わらず、保健所そのものやそこで働く人員の削減が進んでしまっています。そうしたツケは、感染症が拡大すると、一気に保健所の負担になってしまいます。

感染症が発生すると、まず保健所は病床確保のため、地域医師会や各病院との調整に始まり、次から次に業務が拡大します。保健所で働く保健師などは疲弊する一方でしょう。そうした不足は直ちに補えるものではありません。しかし事態を乗り切るポイントがいくつかあります。まずは、電話相談窓口に特化した職員を増強することです。あらゆる相談を医療の専門性を保つ保健師などが受けますが、感染症が長期戦となると専門職だけでは維持できません。そこで都道府県全体をカバーするコールセンターを設けます。電話対応のマニュアルを調整して、まずは専門職でない職員が電話を受けるようにします。

専門的な判断、さらなる対応が必要なケースだけ専門職に振り分けます。次にICTの活用です。電話相談の前にウェブサイトで、自分のデータを相談者自身に入力してもらえれば、実際に通話する時間が大幅に節減されます。地域でそのようなシステム全体を上手に動かしながら、保健所で働く保健師などを支えることが大切です。人員の削減が進んでいるものの、保健師が安心して活躍できるような環境の整備も進んでいると考えていいでしょう。